ボーリング調査

東京エリアで地盤補強や基礎工事を行うにあたり、設計根拠の起点となるのがボーリング調査(標準貫入試験)です。東京都内は、湾岸部の広大な埋立地や河川沿いの沖積層、武蔵野台地など地域によって地質構造が大きく異なるため、適切な設計・施工を行うには事前の正確な地層判定が欠かせません。

本記事では、地盤補強の選定において重要となるボーリング調査の具体的な試験方法、費用目安、東京特有の地質リスクに応じた調査計画のポイントについて、実務的な視点から解説します。

ボーリング調査とは

ボーリング調査
引用元:協和地下開発
http://www.kyowachika.co.jp/jiban/technical/index.html

ボーリング調査(標準貫入試験)とは、ボーリングマシンで削孔を行いながら、深度1mごとに地盤の硬軟・締まり具合の指標となるN値を測定する調査。土木・建築の基礎設計において、データとしての信頼性が広く認められた直接調査法です。

掘削工程において原位置から実際の土壌試料をサンプリングするため、土質試験に基づく液状化判定や土壌汚染状況の把握にも有効。鉄骨造やRC造、3階建て以上の中高層建築における構造計算および建築確認申請の設計根拠として多方面で活用されています。

ボーリング調査の実施が
必要となる主なケース

建築実務において、以下のような条件に該当する場合はボーリング調査の実施が不可欠、または推奨されるケースが多いため、事前の調査計画への算入が求められます。

  • RC造・S造・共同住宅など、構造物重量が大きく深層部の支持層データが必要となる場合
  • 湾岸の埋立地、河川周辺の沖積低地など、軟弱地盤や液状化リスクの想定されるエリアでの開発
  • SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)では貫入深度や硬質層の突破能力が不足する中高層案件
  • 建築確認申請、または各自治体の条例によりボーリングデータの添付や地質報告書の提出を義務付けられている場合

ボーリング調査の
工程と手順

ボーリング調査は、掘削・試験・サンプリング・土質確認の工程に沿って進められます。通常の土砂地盤における掘削速度の目安は1日あたり10~15m程度。敷地条件によっては小型調査機を選択することで、狭小地や屋内での作業にも対応可能です。

  1. 調査位置の選定・仮設設置:構造物の基礎計画や敷地状況を踏まえて正確な調査位置を特定し、ボーリングマシンを搬入・足場を仮設します。
  2. 削孔および孔壁保持ロッドを回転させながら地中を掘り進め、必要に応じて泥水を使用、またはケーシングチューブを挿入して孔壁の崩壊を防ぎます。
  3. 標準貫入試験(N値測定):質量63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させ、サンプラーが30cm貫入するのに要した打撃回数を測定。この手順を深度1mごとに繰り返します。
  4. 土壌サンプリング・柱状図作成:サンプラー内に回収された土試料から土質や色調、地下水位を観察・記録。得られたデータから深度ごとの地層構成をまとめた「地質柱状図」を成果物として作成します。

地質柱状図の確認ポイント

N値分布から支持層の
深度を特定する

N値は数値が大きいほど地盤が堅固であり、小さいほど軟弱であることを示す指標。基礎設計の実務においては、一般的に砂質土でN値50以上、粘性土でN値20以上の層が連続する区間を、構造物を支える「支持層」の目安として選定します。

柱状図内ではN値の推移が深度ごとにグラフ化されているため、支持層の出現深度を視覚的に把握可能。この判定結果が、既製杭の長さや地盤改良工法の施工深度を決定する絶対的な基準となります。

特に東京湾岸部などの埋立地域では支持層が深層に位置し、浅層から厚い軟弱層が堆積しているケースが多いため、深部のN値データを取得する計画が欠かせません。

土質区分と地下水位から液状化・圧密沈下リスクを解析

柱状図の土質欄には、礫・砂・粘土といった実際のサンプリングに基づく土層構成が記録されます。土質によって支持特性や災害時の挙動が異なるため、N値と連動させた総合的なデータ解析が必要。たとえば、砂質土地盤はN値が一定以上であっても地震時の液状化リスクを考慮すべきであり、粘性土地盤では建物荷重の長期負荷による圧密沈下への対策が求められます。

あわせて、図中に記載される「地下水位」の確認も重要です。液状化判定のパラメータとなるほか、基礎掘削時の湧水対策や山留設計の側圧計算に直結するため、N値・土質・地下水位の3要素を正確に読み取ることが設計精度の向上に寄与します。

ボーリング調査の
費用算出の目安

ボーリング調査の費用は、想定される支持層までの設計掘削深度、配置する調査本数、仮設条件によって変動します。

調査条件費用目安(1本あたり)
標準的な深度(10m程度)15万~30万円程度
深度20m以上の場合25万~50万円程度
複数地点調査の場合1本あたりの単価 × 本数(中規模建築では3~5本が標準)

なお、調査車両や大型機械が進入できない狭隘地、高低差のある傾斜地では足場仮設費や小運搬費が加算されるため、見積もり時の現地確認が重要。また、物理試験や力学試験などの「室内土質試験」を併せて委託する場合は、別途試験費用が発生します。

参照元:比較ビズ
https://www.biz.ne.jp/matome/2003338/
2026年5月調査時点。
参照元:協和地下開発
http://www.kyowachika.co.jp/jiban/technical/index.html
2026年5月調査時点。
まとめ
地質リスクを定量化し、
強固な地盤補強・基礎設計へ

ボーリング調査(標準貫入試験)は、複雑な地層構成を持つ東京エリアにおいて、適切な地盤補強工法や杭基礎設計を選定するための重要な設計プロセス。得られたN値分布、土質区分、地下水位のデータを地質柱状図から多角的に読み解くことで、支持層までの深度や中間軟弱層の分布を確実に把握し、柱状改良工法や鋼管杭工法などの適否を合理的に判断できます。

地域や地質年代ごとに異なる地盤特性を示す都内の開発においては、地盤工学的な知見を有する信頼性の高い調査・施工企業と連携することが不可欠。客観的な地盤データに基づき、構造物の特性に合致した工法選択を行うことが、長期的な安全性を担保する確実なアプローチとなります。

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