地盤改良を検討する際、小規模建築から住宅まで幅広く選ばれているのが「鋼管杭工法」です。この工法は工場で作られた高品質な鋼管を地中に打ち込むため、現場の土質によって強度がバラつく心配がありません。
今回は、鋼管杭工法の種類や具体的な工法名まで要点を絞って解説します。
鋼管杭工法は、杭を地中に沈めるやり方によって、大きく3つのタイプに分類可能です。現場の敷地条件や建物荷重、コスト管理の方針によって選定すべき施工方式は異なるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
| 分類 | 施工方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 打込み式 | ハンマー等で叩き入れる | 施工スピードが速い |
| 回転圧入式 | ネジのように回し入れる | 騒音や振動が少ない |
| 埋込み式 | 穴を掘ってから杭を入れる | 硬い地盤も突破できる |
現在の主流は回転圧入式であり、先端に翼がついた杭を回転させることで、静かに、かつ強力な支持力を得ることが可能です。昔ながらの打込み式は、大きな音が出るため住宅密集地では敬遠されがちですが、コスト面では優位に立ちます。埋込み式は、強固な中間層があって杭が入っていかないような特殊な現場で威力を発揮する、いわば切り札的な存在です。
大分類を理解したところで、次は国土交通大臣などの認定を受けた具体的な工法を見ていきましょう。「鋼管杭ならどれも同じ」と思われがちですが、実際には翼の形状によって、得意とする地盤が異なります。
礎オメガ工法は、杭の先端に半月形の特殊な翼を取り付けることで、非常に高い先端支持力を実現した工法です。大きな翼がしっかりと地盤を捉えるため、細い杭でも重い建物を支えられるケースがあり、材料費の抑制に繋がります。
施工時には回転トルクを1本ずつ厳密に管理するため、支持層への到達が高い確率で期待できる点も大きな強みです。
住宅建築の現場で、頻繁に名前を耳にするのがTGパイル工法です。小型の施工機械でも高い圧入力を持たせられるよう設計されており、狭い土地での工事を得意としています。先端翼がネジのように土へ入り込んでいくため、近隣への振動被害を減らすことができるのがメリットです。
NSVコラム工法は、鋼管とセメントミルクを組み合わせて、地中に強固な合成構造体を築き上げるハイブリッドな技術です。単なる杭打ちとは異なり、掘削しながら固化材を注入して周囲の土と混ぜ合わせることで、杭と地盤を一体化させます。鋼管自体の強度に加えて周囲のコラムが荷重を支えるため、並外れた耐性を誇るのが特徴です。
SMD杭工法は、土を地上に掘り出さない「無排土施工」を徹底している、環境配慮型の回転圧入工法です。先端のスパイラル翼が土を外側に押し広げながら進むため、周辺地盤を緩めることなく杭を定着させます。工事中に出る残土をほぼゼロにでき、残土処分費の削減につなげられるため、発注コスト抑制の観点からも評価される工法です。
クロスベース工法は、比較的浅い位置にある軟弱地盤を、格子状に補強して支える特殊な工法です。鋼管杭を深く打つほどではないものの、地表面の強度が足りないという「絶妙な地盤状況」において、その真価を発揮します。地表近くの土に固化材を混ぜて丁寧に締め固めることで、不同沈下を起こさない安定した土台を形成します。
工法を選ぶ基準は、建物の重さと、支持層がどの深さにあるかという二点に集約されます。一般的な2階建て住宅であれば、コストと性能のバランスに秀でたTGパイル工法やSMD杭工法が検討の土台となるでしょう。一方で3階建てやRC造のような重い建物なら、礎オメガ工法やNSVコラム工法のような、高耐力型が必須となります。
柱状改良などのセメント系工法と比較して、鋼管杭工法が優れているのは品質の再現性です。セメント系は現場の土質で強度が変動するリスクがありますが、既製品の鋼管は常に一定の強度が保証されています。将来、土地を売却する際に杭を引き抜きやすく、土地の価値を下げにくい点も鋼管杭が選ばれる理由です。
費用相場は、小規模な戸建て住宅で100万~200万円程度※を見ておくのが現実的です。工期は非常にスピーディで、大半の現場であれば1日から2日程度ですべての作業が完了します。詳しい見積もりの内訳については、別記事の費用解説セクションにて詳細を公開しています。
鋼管杭工法は、深層の支持層への強固な定着と高い品質再現性を持つ、信頼性の高い深層補強技術です。各工法の特性を把握したうえで敷地条件・建物荷重・コストを総合的に判断し、適切な工法を選定してください。
本メディアでは、東京の施工環境に対応できる地盤改良会社を建物の規模別に紹介しています。専門業者の検索にご活用ください。
ここでは、「戸建て住宅」「マンション・アパート」「高層マンション」など建物の規模別に、おすすめの地盤改良・地盤補強会社を3社紹介。
施工条件が厳しい東京エリアに対応している会社を厳選しています。
幅広い工法提案力と小型施工機で
小規模建築に対応
コンパクト施工と高支持力な工法で
中規模建築に対応
高支持力・低騒音を両立した工法で
大規模建築に対応
※1 N値50の地盤条件下での比較において、押込み451.0〜2,521.0kN、引抜き459.8〜1,923.9kNの支持力。中規模建築にも対応を検討しやすい支持力水準です。
支持力は地盤条件や設計条件などにより異なります。
参照元:報国エンジニアリング公式HPより(https://www.hokoku-eng.jp/ground-improvement.html)
※2 参照元:報国エンジニアリング公式HP(https://www.hokoku-eng.jp/ground-improvement.html)
※3 先端地盤が砂質土・礫質土で、拡大掘削倍率ω=2.00、先端平均N値50、節部径φ1200の条件において、最大約16,000kN級の先端支持力。
大規模建築にも対応を検討しやすい支持力水準です。支持力は地盤条件や設計条件などにより異なります。
参照元:ジャパンパイル公式HP(https://www.japanpile.co.jp/method/pdf/hyper-mega.pdf)