戸建て住宅をはじめとする建築設計・施工において、地盤改良工法の選定は構造物の安全性と予算管理に直結する重要実務です。さまざまな現場で採用される「柱状改良工法」は、コストと性能のバランスに優れる手法です。一方で、将来的な土地売却時のリスクや環境への影響など、実務担当者が事前に把握すべき注意点も少なくありません。
本記事では、施主への適切な提案と適切な発注判断のために、柱状改良工法のメリットとデメリットを技術的・実務的な視点から解説します。
柱状改良工法は、軟弱地盤が数メートルに及ぶ場合に有効な手段です。多くの現場で選ばれるには確かな理由が存在します。
この工法は土とセメント系固化材を攪拌し、地中に柱を築きます。強固な支持層まで杭を届かせる必要がないケースでも施工できるため、地層に左右されにくいのが特徴です。予算を抑えつつ十分な耐震性を確保したい施主に対して、コストパフォーマンスの高い仕様として提案する際の強力な根拠となります。
優れた工法ですが、特有のリスクもはらんでいます。特に以下のポイントは、設計・発注前の確認が必須です。
注意したいのが地質との相性です。腐植土層では硬化不良が起こる可能性があります。また、将来的に建物を解体して更地に戻す際、埋設物として扱われる改良体の存在が土地の評価額に影響を及ぼすなど、発注工法を選定する上での留意事項として考慮しておく必要があります。
柱状改良で慎重に判断すべきは将来の資産価値への影響です。地中のコンクリート柱は、不動産鑑定において「地下埋設物」と見なされる場合があります。土地売却時に買い手から撤去を求められるケースも多く、その作業には数百万円単位の高額な費用が発生します。将来的な瑕疵リスクを回避するため、数十年後を見据えたリスクマネジメントと事前の説明が不可欠です。
良好な地盤が地下2~8メートル程度の深さにある土地に適しています。木造2階建てから3階建て程度の重さがある建物でも安定して支えられるのが強みです。
腐植土層が厚い土地や、将来的に土地を売買・返却する予定がある現場には不向きです。契約条件として将来更地戻しが義務付けられている定期借地権付きの物件などでは、別の工法を第一候補として検討すべきでしょう。
地盤改良には主に3つの手法があり、適応する深さや特徴が異なります。敷地の地質調査データに合わせて適切なものを選定しましょう。
| 比較項目 | 表層改良 | 柱状改良 | 鋼管杭工法 |
|---|---|---|---|
| 適用深度 | 2m以浅 | 2m~8m程度 | ~30m程度 |
| 撤去のしやすさ | 比較的容易 | 困難 | 比較的容易 |
| 六価クロムリスク | あり | あり | なし |
将来の撤去および土地の資産価値維持まで考慮する場合、鋼管杭工法の方が有利になる場合も珍しくありません。実務担当者としては、目先の施工コストだけでなく、土地の特性、予算、将来的な土地の運用計画までを総合的に照らし合わせ、適切な発注判断を下すことが大切です。
柱状改良工法は信頼性が高く、コストパフォーマンスに優れた工法です。しかし、将来の撤去費用や環境リスクといった側面があることも忘れてはいけません。対象地が永住目的の土地か、それとも将来的に売却・返却の可能性があるかにより、選定すべき適切な工法は変わります。信頼できる専門会社による調査・解析結果をもとに、確実な発注判断を行ってください。
本メディアでは、東京の厳しい施工環境や狭小地にも柔軟に対応できる実績豊富な地盤改良会社を、建物の規模別に紹介しています。確実な施工とトラブルのない現場づくりのために、ぜひ信頼できるビジネスパートナー探しにご活用ください。
ここでは、「戸建て住宅」「マンション・アパート」「高層マンション」など建物の規模別に、おすすめの地盤改良・地盤補強会社を3社紹介。
施工条件が厳しい東京エリアに対応している会社を厳選しています。
幅広い工法提案力と小型施工機で
小規模建築に対応
コンパクト施工と高支持力な工法で
中規模建築に対応
高支持力・低騒音を両立した工法で
大規模建築に対応
※1 N値50の地盤条件下での比較において、押込み451.0〜2,521.0kN、引抜き459.8〜1,923.9kNの支持力。中規模建築にも対応を検討しやすい支持力水準です。
支持力は地盤条件や設計条件などにより異なります。
参照元:報国エンジニアリング公式HPより(https://www.hokoku-eng.jp/ground-improvement.html)
※2 参照元:報国エンジニアリング公式HP(https://www.hokoku-eng.jp/ground-improvement.html)
※3 先端地盤が砂質土・礫質土で、拡大掘削倍率ω=2.00、先端平均N値50、節部径φ1200の条件において、最大約16,000kN級の先端支持力。
大規模建築にも対応を検討しやすい支持力水準です。支持力は地盤条件や設計条件などにより異なります。
参照元:ジャパンパイル公式HP(https://www.japanpile.co.jp/method/pdf/hyper-mega.pdf)