平板載荷試験

構造物の安全性を担保する基礎設計において、原位置での正確な地盤強度把握は設計実務の起点となります。地盤調査には対象物の規模や目的に応じた複数のアプローチが存在しますが、基礎底面を想定した位置に実際の構造物荷重を模擬的に載荷し、地盤の支持力特性を直接測定する手法が平板載荷試験です。

本記事では、同試験の計測メカニズムや実務上実施すべき現場条件、費用目安について、建築・土木設計の視点から解説します。過剰設計の抑制や不同沈下リスクを回避するための技術的判断材料としてご活用ください。

平板載荷試験とは

平板載荷試験
引用元:サムシング
https://www.s-thing.co.jp/jiban_chosa/chosa_hoho/heibansaika/

平板載荷試験(JIS A 1215等)は、基礎底面を想定した地盤面に直径30cmの剛性載荷板を設置し、計画構造物に見合った垂直荷重を段階的に加えて沈下量を測定する試験。ロッドの回転貫入抵抗から換算値を導くSWS試験とは異なり、地盤の極限支持力や降伏応力度を直接計測できる点が技術的なメリットです。確認申請における地耐力の客観的な証明や、地盤改良工法の選定・要否判断の最終根拠として実務に組み込まれています。

参照元:サムシング公式HP
https://www.s-thing.co.jp/jiban_chosa/chosa_hoho/heibansaika/

平板載荷試験の実施が
求められる主なケース

設計上の地耐力をより確実な実測値で立証したい場合や、簡易的な間接調査では判定が困難な現場条件において同試験が採用されます。具体的には、以下のような設計・施工実務において実施するのが一般的です。

  • SWS試験において自沈層が確認され、沈下挙動のより精緻な検証を必要とする場合
  • 擁壁の底盤直下や重機走行路など、局所的に高い設計荷重が作用する箇所の強度確認
  • 地盤改良工事(表層改良工法など)を施工した後の、固化効果および支持力強度の最終品質管理試験として
  • 設計荷重に対して過剰な補強設計を回避すべく、実測データに基づく安全率の適性化を図る場合

平板載荷試験の
標準的な手順

試験の実施には、設計荷重に見合った反力体(バックホー等の建設重機や敷鉄板など)の確保が前提となります。現地で測定システムを構築し、段階的に載荷を行うプロセスが基本。具体的な試験手順は以下の通りです。

  1. 地盤面の平坦化・載荷板の設置:試験位置の地表面を乱さないよう水平に整え、薄層の乾燥砂などを敷いて隙間なく載荷板を水平に設置します。
  2. 反力装置・計測器のセット:反力体となる重機等を直上に配置し、載荷板の上に油圧ジャッキ、荷重計(ロードセル)、沈下量測定用のダイヤルゲージをセットします。
  3. 段階載荷および沈下量計測:計画最大荷重を8~12段階に分割して載荷。各荷重段階において、規定の時間経過に沿った沈下量を精密に記録します。
  4. 除荷および復元量の確認:最大荷重まで計測を完了した後、段階的に除荷を行い、荷重ゼロ時の地盤の弾性復元量を確認します。

試験結果の解析と得られる
設計パラメータ

極限支持力と
長期許容応力度の算出

試験によって導き出される重要なデータは、地盤のせん断破壊等に伴う荷重の限界値である「極限支持力」。この実測値に建築基準法等に準拠した安全率(長期の場合は一般に3)を考慮することで、構造物を長期的に支持可能な長期許容応力度の算出が可能。計画構造物の接地圧がこの許容値内に収まっているかどうかが、直接基礎の採用可否を決定する設計根拠となります。

荷重~沈下量曲線
(P-S曲線)による挙動分析

測定データは、横軸に荷重(Pressure)、縦軸に沈下量(Settlement)をプロットした「P-S曲線」としてグラフ化。曲線が急激に折れ曲がる点は地盤の降伏段階を示しており、支持力特性や地盤の変形係数を視覚的かつ定量的に捉えられます。荷重の増加に対して沈下量が線形に推移しているか、あるいは塑性変形へ移行しているかを分析し、沈下リスクを判定します。

平板載荷試験の
限界・注意点

調査対象深度の制限
(スケールエフェクト)

同試験における荷重の影響範囲(応力球根の分布)は、一般に載荷板直径の約1.5~2倍の深さに限定。直径30cmの載荷板を使用する場合、地表面から約0.5~0.6m程度の浅層盤のデータしか得られない特性を持ちます。

そのため、支持層の下位に未知の軟弱層が介在しているケースでは不同沈下を見逃すリスクが排除できず、ボーリング調査など深層の地層構成を把握できる手法との併用が実務上不可欠です。

地層の不均質性による
測定誤差(礫などの影響)

礫混じり土や転石が含まれる地盤で試験を実施すると、載荷板が局所的に硬質な礫に乗り上げる事象が発生。この場合、地盤全体の平均的な支持力特性よりも著しく高い数値を示す過大評価のリスクが懸念されます。

事前の土質サンプリング結果を確認し、単一ポイントの計測値に依存せず、複数箇所の測定値を相互検証するなどの慎重なデータ評価が求められます。

平板載荷試験の
費用算出の目安

平板載荷試験の費用構成は、仮設・重機費用を含む基本料金と、試験位置ごとの実測費用に分かれるのが一般的。想定する設計値(最大加圧荷重)の規模によっても算定基準が変動します。

試験条件費用目安
設計値 1~149kN/㎡(標準載荷)基本5万円 + 1箇所あたり5万円程度
設計値 150~200kN/㎡(高荷重載荷)基本5万円 + 1箇所あたり8万円程度
参照元:DOUBLE DROPS公式HP
https://www.double-drops.com/geo/jgs1521
2026年5月調査時点。
参照元:サムシング公式HP
https://www.s-thing.co.jp/jiban_chosa/chosa_hoho/heibansaika/
2026年5月調査時点。

設計値が150kN/㎡を超えるような高荷重条件の試験では、より大きな反力(重機質量など)の確保が必要となるため、1箇所あたりの施工単価が上昇。上記は標準的な昼間作業を前提とした一例であり、山留め内部での狭隘施工や夜間作業、載荷段階数の追加指示がある場合は別途割増費用が発生します。

まとめ
原位置での実測データに基づき、基礎設計の合理化を図る

平板載荷試験は、対象地盤の支持力特性を実測値として定量化できるため、基礎設計の妥当性を立証する上で有効な設計根拠(エビデンス)となります。応力影響範囲による調査深度の制約はあるものの、基礎底面を想定した直接的な強度測定のメリットは大きく、安全率の適性化や過剰設計の抑制に直結。SWS試験データの補完や、表層改良施工後の品質管理試験として、実務上きわめて有用なアプローチです。確実な地盤補強・基礎設計の根拠を揃えることが、構造物の長期的な安全性を確立する基盤となります。

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