足立区

足立区で家を新築・建替えするなら、地盤改良の検討は欠かせません。区の地盤の特徴から工法の選び方、施工時の手続きまで順に解説します。

足立区の地盤の特徴

厚さ30〜60mの軟弱な沖積層が広がる低地

足立区の地盤は、地中深くの安定した「洪積層」の上に、旧河川が運んだ砂や粘性土でできた厚さ30〜60m程の軟弱な「沖積層」が重なっています。

この沖積層が地震の揺れを増幅させ、地表近くのゆるい砂質層の液状化を引き起こしやすくします。

区はかつて海辺に接した低湿地帯の一部で、全体が沖積低地です。土地条件図では区の大部分が盛土地・埋立地などの「人工地形」で、一部に自然堤防などの微高地があります。区のほぼ全域が海抜2m前後で、一部には海抜0m地帯もあります。

参照元:足立区「知ってほしい足立区の地盤と液状化対策」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/documents/24678/r70401panfuretto_1.pdf)

参照元:三井住友トラスト不動産「地形や歴史からひもとく防災情報 東京都足立区」(https://smtrc.jp/drr/city/tokyo-adachi/index.html)

区内のほとんどが液状化の可能性がある地域

以前川や海だった場所が市街化された土地は、一般に液状化が起きやすいとされます。足立区は内陸部の河川沿いの低地に位置し、区内のほとんどが液状化の可能性がある地域です。区は、建物被害への備えを検討する人に、東京都の液状化対策アドバイザー制度(派遣無料)の利用を勧めています。

参照元:足立区「東京都が実施する液状化対策」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/k-shinsa/machi/kenchikubutsu/ekijoka-adv.html)

足立区で地盤改良を計画する前に確認すること

液状化予測図・ボーリングデータで敷地のリスクを事前に確認

地盤調査の前に、次の公開情報で敷地のリスクを確認しましょう。

  • 東京の液状化予測図(令和7年度改訂版、2026年3月29日公開)
  • あだち地図情報提供サービスの「地盤ボーリングデータ」
  • 建物における液状化対策ポータルサイトの地歴図・ボーリングデータ

予測図は250m四方のメッシュ単位の判定で、同じメッシュ内でも結果が異なる場合があります。

参照元:東京都建設局「東京の液状化予測図 令和7年度改訂版」(https://doboku.metro.tokyo.lg.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/top.aspx)

参照元:足立区「あだち地図情報提供サービス」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/josys/20141027.html)

参照元:東京都都市整備局「建築物における液状化対策について」(https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/anzensei/ekijyoka)

建物規模に合わせて地盤調査の方法を選ぶ(SWS試験/ボーリング調査)

地盤調査は、建物の規模などを考慮して方法を選びます。代表的なものは次の2つです。

  • SWS試験(スクリューウエイト貫入試験):おもりを載せたロッドを回転させ、25cm貫入したときの回転数で硬さを測る
  • ボーリング調査:一定の深さごとに土を採取して地層や土質を調べ、標準貫入試験でN値も測る

選択は建築士や地盤調査会社に相談しましょう。

足立区の地盤に合わせた地盤改良工法の選び方

工法は調査結果と予算、被害をどこまで抑えたいかで選びます。液状化の発生を抑える「地盤を改良する」方法と、建物被害を軽減する「基礎で対応する」方法があります。

工法工事費のめやす
直接基礎(べた基礎)100〜300万円程度
小口径杭工法(杭径114〜165mm程度)150〜250万円程度
浅層混合処理工法80〜150万円程度
深層混合処理工法〈柱状改良〉(杭径500〜600mm程度)100〜200万円程度

※東京都の手引に基づく木造住宅の液状化対策の目安です。

一般に、軟弱層が約2m以内なら表層改良、6〜8m程度までなら柱状改良、より軟弱なら鋼管杭を使います。

参照元:足立区「知ってほしい足立区の地盤と液状化対策」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/documents/24678/r70401panfuretto_1.pdf)

参照元:All About「住まいの地震対策で見落とされがちな地盤とその改良法」(https://allabout.co.jp/gm/gc/453080/)

足立区で地盤改良を行うときの施工条件と注意点

狭あい道路が多いため、細街路協議と重機の搬入計画が必要

足立区の細街路計画路線には、幅員4m未満の「狭あい道路」が多く含まれます。敷地が細街路路線に接し、建築確認申請を伴う場合は、細街路協議を行う計画で建築確認申請を伴う場合は、申請日までに協議を完了させることが条例で定められています(建築基準法上の義務ではありません)。

協議には書類提出後1か月程度かかり、セットバック範囲の門・塀などの撤去は申請者側で行います。

道路幅が限られる現場では改良機の大きさも確認が必要です。狭小地向けに小型(8〜15t)の地盤改良機を使う技術開発の例もあります。

参照元:足立区「細街路整備事業について」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/k-bousai/machi/machizukuri/saigairo.html)

参照元:国土交通省「砕石による住宅等の液状化対策工法に関する技術開発」(https://www.mlit.go.jp/common/001024135.pdf)

特定建設作業の届出(8日前まで)と区の指導基準を守る

騒音規制法・振動規制法の特定建設作業にあたる場合は、足立区では作業開始の8日前までに、生活環境保全課へ届出を行う必要があります。

杭打ち機などが対象で、圧入式や打撃を伴わない埋め込み杭の作業は対象外です。要否が不明なら工法資料を持って区に相談できます。

特定建設作業を含む工事には、区の指導基準も適用されます。

  • 低騒音・低振動の機械の使用と散水
  • 車両の出入り時は誘導員などを配置
  • 日曜・祝日は原則作業しない
  • 工事会社の名称と現場責任者の氏名・連絡先を掲示

参照元:足立区「特定建設作業の届出について」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/kankyo-hozen/kurashi/kankyo/kogai-kensetsusagyo.html)

参照元:足立区「解体工事等の環境保全対策に係る指導基準について」(https://www.city.adachi.tokyo.jp/kankyo-hozen/koji_yoko.html)

まとめ

足立区は厚い沖積層と液状化リスクを抱えるため、地盤改良は計画初期から検討することが大切です。

液状化予測図とボーリングデータで敷地を確認し、地盤調査の結果で工法を選びましょう。業者選びでは、狭あい道路での重機搬入や細街路協議、特定建設作業の届出まで対応できるかを確認してください。