オートマチックラムサウンディング試験

東京の住宅密集地では、SWS試験だけでは支持層まで届かないケースが少なくありません。本記事ではオートマチックラムサウンディング試験の定義や仕様、東京での活用ポイントを解説し、杭設計の裏付け調査として役立つ情報を提供しています。

オートマチックラムサウンディング試験とは

オートマチックラムサウンディング試験(Automatic Ram Sounding)とは、スウェーデンで開発され1974年に日本に導入された「動的コーン貫入試験」の一種です。自動落下ハンマーでロッド先端のコーンを打撃貫入させ、貫入量200mmあたりの打撃回数からNd値を連続的に取得します。

Nd値は標準貫入試験のN値と高い相関を持ち、Nd≒Nとして扱えるため、標準貫入試験やSWS試験の補完調査として活用されています。ハウスメーカー・工務店・設計事務所にとっては、支持層確認や杭設計の一次判断材料として位置づけられる調査です。

参照元:ジオテック株式会社(https://www.jiban.co.jp/service/survey/ramsounding.htm)

参照元:株式会社ジャパン・フィールド・データ(https://www.jfd-gr.co.jp/survey-tech/ground-investigation/)

オートマチックラムサウンディング試験の試験方法と機器仕様

試験では、ロッド先端に先端角90度・外径45mmのコーンを取り付け、質量63.5kgのハンマーを落下高500mmから自動で連続落下・打撃させます。貫入量200mmごとの打撃回数Ndmの記録を行い、Ndmが5回を超える場合はロッドを回転させて回転トルクを測定。そして周面摩擦の影響を補正する仕組みです。

貫入・引抜きが自動化されており、調査深度は概ね30m程度まで対応します。試験機はJIS A1230および地盤工学会基準JGS 1437-2014に準拠しており、規格に沿った信頼性の高い調査として位置づけられています。

参照元:ジオテック株式会社(https://www.jiban.co.jp/service/survey/ramsounding.htm)

参照元:株式会社サムシング四国(https://www.st-shikoku.co.jp/business/survey/rum_sound/)

オートマチックラムサウンディング試験の特徴・メリット

N値50級・深度30mまで自動測定できる貫入能力

本試験の大きな強みは、SWS試験では難しい「N値30を超える硬い地層」まで測定できる点にあります。

深度30m程度までの自動測定に対応し、支持層の連続的な確認が可能です。ただし、玉石や密な礫層といった極端に硬い地盤には貫入できないケースもあり、地盤条件によっては別調査への切替が必要となる点は理解しておく必要があります。

参照元:ジオテック株式会社(https://www.jiban.co.jp/service/survey/ramsounding.htm)

参照元:理研地質株式会社(https://www.riken-net.co.jp/html/ram.html)

小型・自走式で狭小地でも搬入・調査しやすい

従来型のラムサウンディング試験機は大型で高価であり、普及が進みにくい課題を抱えていました。近年は小型軽量化・自走式が進み、狭小地でも搬入可能なコンパクトモデルが登場しています。

ワンボックス車での搬入が可能で、普通免許で搬送できる機種もあり、住宅密集地や狭小地が多い東京の現場にも展開しやすい点は大きなメリットといえます。

Nd値≒N値で高精度/告示第1113号でも動的貫入試験に位置づけ

本試験で得られるNd値は、標準貫入試験のN値とほぼ同等の指標として扱えるため、設計実務でも杭設計や地盤解析にそのまま活用しやすい特徴があります。

さらに令和6年(2024年)に告示第1113号が改正され、ラムサウンディング試験が動的貫入試験として法的に位置づけられました。設計者・工務店にとって、根拠を持って提案・判断できる調査手法としての価値が高まっています。

参照元:e-gov|脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係告示の制定・改正について(概要)[※PDF](https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000273234)

オートマチックラムサウンディング試験の実施が必要となる主なケース

オートマチックラムサウンディング試験は、SWS試験だけでは判断材料が不足し、かつボーリング調査を全面的に採用するには規模やコスト面のバランスが取りにくい場面で選ばれる調査手法です。工務店や施主が本試験の実施を検討する典型的なケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

まず、SWS試験の結果、貫入不能層や自沈層が確認され、支持層の位置や強度を追加で把握する必要があると判断された場合です。特に3階建て住宅や重量鉄骨造、盛土の厚い造成地、切盛境界にまたがる敷地などは、SWS試験の結果だけで基礎仕様を決定するのが難しく、Nd値による深部の連続データが求められます。

また、鋼管杭や柱状改良などの地盤改良・杭工事を前提とする場合、杭長設計の根拠として支持層深度を押さえる目的で本試験が選ばれます。近隣にボーリングデータがなく、支持層の深度や連続性が読みにくいエリアで新築を計画する際も同様です。

さらに、狭小地・住宅密集地・旗竿地でボーリング調査機の搬入が難しいものの、SWS試験では調査能力が不足するといった「中間的な条件」の敷地で、代替・補完調査として本試験を採用するケースも一般的です。ハウスメーカー・工務店・設計事務所にとっては、コストと精度のバランスを取りながら杭仕様や基礎判断の根拠を得たい局面で有効な選択肢となります。

SWS試験・ボーリング調査との違いと使い分け

SWS試験(スクリューウェイト貫入試験)は静的な調査手法で、コストが抑えられ狭小地でも実施しやすいため、戸建て住宅の地盤調査で最も一般的に採用されています。

ただしN値30を超える硬い層や深い支持層には届かないといった弱点がある点には留意しましょう。

ボーリング調査(標準貫入試験)は精度・土質サンプル採取に優れ大規模建築で用いられますが、費用・作業スペース・工期の面で負担が大きいのが実情です。ラムサウンディング試験はその中間に位置する調査で、支持層確認や杭設計の裏付けとして強みを発揮します。

ただし土質そのもののサンプリングは基本的に行わないため、土質特性の詳細把握にはボーリング調査との併用が前提となる点は押さえておく必要があります。

参照元:在住ビジネス株式会社(https://zaijubiz.jp/column/2025-12-24/)

参照元:株式会社トラバース(https://www.travers.co.jp/easy-to-understand-ground-story/ram-sounding-soil-test/)

東京の地盤調査でオートマチックラムサウンディング試験は行える?

東京23区の住宅密集地・狭小地・旗竿地では、ボーリング調査機の搬入や作業スペース確保が難しく、かといってSWS試験では支持層まで届かないケースが発生しやすい実情があります。

オートマチックラムサウンディング試験の小型自走式機ならワンボックス車での搬入が可能で、トラック駐車スペースを確保しにくい市街地でも展開しやすい点が、東京で試験を行う上で大きなアドバンテージとなります。

特に東京東部・下町の沖積低地、湾岸の埋立地、旧河川・旧沼地跡といった軟弱地盤エリアでは、支持層の深度が読みにくく、SWS試験だけでは杭仕様の判断が難しいことも珍しくありません。こうしたエリアで鋼管杭工法などの支持層確認補完調査として本試験を活用する意義は大きいでしょう。

実務フローとしては「まずSWSで敷地全体の傾向を把握し、支持層確認や杭長設計の裏付けにラムサウンディング試験を追加する」という組み合わせが有効です。

オートマチックラムサウンディング試験の注意点・向かないケース

本試験を行うことが向かないケースとして、玉石層や密な礫層など硬すぎる地盤が挙げられます。こうした地盤は貫入できず、ボーリング調査への切替が必要となります。

また、土質そのもののサンプリングは基本的に行わないため、粘土・砂の詳細な識別や土質特性の把握が必要な場合はボーリング調査との併用が前提となります。

そのほか、概ね20〜30m以深になると計測できない場合があり、超高層や大規模建築では標準貫入試験を基本とすべきです。

試験を検討しているハウスメーカー・工務店・設計事務所においては、「どの試験をどう組み合わせるか」で調査会社の提案力を見極めることが求められるでしょう。

参照元:理研地質株式会社(https://www.riken-net.co.jp/html/ram.html)

参照元:在住ビジネス株式会社(https://zaijubiz.jp/column/2025-12-24/)

まとめ

オートマチックラムサウンディング試験は、SWS試験とボーリング調査の中間に位置し、支持層確認や杭設計の裏付けに強みを持つ調査手法です。特に東京の狭小地・軟弱地盤エリアでは搬入性と貫入能力の両立が有効に働きます。

土質採取ができない等の弱点も踏まえ、目的に応じて他調査と組み合わせて活用することが、安全で合理的な地盤設計への近道となります。